観光バス・ピリカ号で楽々!
摩周湖・屈斜路湖・阿寒湖の道東三湖を一日で巡る旅レポート!
公開日:2025.06.27
摩周湖
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概要紹介
摩周湖
北海道の東部、道東エリアには、手つかずの大自然と神秘的な湖が点在しています。個人で訪れるにはアクセスが難しい場所も多いこの地域を効率よく、そして深く楽しめるのがガイド付き観光バス「ピリカ号」での周遊。ピリカ号は釧路発着の日帰り観光バスツアー。摩周湖・屈斜路湖・阿寒湖という「道東三湖」を一日で巡ることができる効率の良さが観光客から大人気です。さらに、硫黄山や砂湯など、ひがし北海道を代表する絶景&体験スポットも網羅しており、バスガイドさんの解説を聞きながらより深く楽しくひがし北海道を堪能することができます。
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8:00 乗車・出発
定期観光バス・ピリカ号
ピリカ号のバスツアーは朝8時に釧路市内を出発します。釧路市内の主要スポットから乗車できるので、宿泊先からのアクセスも良好です。
① 釧路駅前バスターミナル【8:00発】
② フィッシャーマンズワーフMOO【8:05発】
③ 釧路プリンスホテル【8:08発】

車内は1列4席の自由席で、目的地だけではなく、車窓からの雄大な景色も存分に楽しむことができます。特に北斗展望台付近では、車窓から広がる湿原の風景を楽しめます。天気が良ければ、朝もやに包まれた幻想的な釧路湿原の姿も見られるかもしれません。観光スポットへの移動中は、同乗しているベテランバスガイドさんの解説を楽しみます。車窓から見える動植物についての解説はもちろん、それぞれのまちがどのようにして発展していったかの歴史やアイヌ文化を深く知ることができます。また、古くから歌い継がれる民謡を歌ってくれるここでしかできない体験も。エゾシカやキタキツネなどの野生動物を見つけた時には速度を落として走行してくれるので、シャッターチャンスもバッチリ!
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10:00 摩周湖第1展望台(停車時間:30分)
摩周湖
最初の目的地は、摩周湖を一望できる「摩周湖第1展望台」。アイヌ語で「カムイ(神)の湖」とも称される摩周湖は火山のカルデラにできた湖で、湖面の透明度は世界トップクラス。標高約350メートルの展望台から見下ろす眺望はまさに圧巻!湖の全体像とその周囲に広がる雄大な山々を一望でき、まさに絵画のような風景が広がります。天気が良ければ、対岸の斜里岳まで見通せることも。訪れる季節や時間帯によって湖面の色や雰囲気が変化するのも魅力の一つです。「霧の摩周湖」と呼ばれることでも有名で、1年を通して霧がかかっているため快晴の日に当たったあなたはとってもラッキー。晴れた日には「摩周ブルー」の青く澄み渡った、神秘的な色合いの湖面が訪れる人を魅了します。この日はバスガイドさんも驚くほど風がなく、雲が湖面に映り込む幻想的な風景を見ることができました。2022年に改装オープンした「摩周湖カムイテラス」では、ベンチに座ってゆっくりと大自然の景色を楽しむことができます。道東の自然の美しさとスケールの大きさを肌で感じられる、最初の感動スポットです。停車時間は30分あり、自由散策OK。1Fにある売店ではここでしか買えないお土産を購入できたり、摩周湖をイメージしたブルーが特徴の「摩周ブルーソフト」「摩周霧ソフト」を食べることができます。すっきりとした甘味が広がるラムネ味の爽やかなソフトクリームで、観光客からも大人気。北海道定番の甘しょっぱいタレがかかったおやつ「いもだんご」もおすすめ!
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10:30 硫黄山(停車時間:30分)
硫黄山
次に向かうのは、アイヌ語で「アトサヌプリ(裸の山)」と呼ばれる活火山・硫黄山。近づくにつれ、ゴウゴウと音を立てながら白煙を吐く山肌が見えてきます。まるで温泉にいるような硫黄の香りが立ち込める現地では、地面の至る所から蒸気が噴き出し、地球のエネルギーを間近に感じられる貴重な体験ができます。駐車場から山裾の砂礫を歩いていくと、至近距離で噴気孔を観察できます。岩肌から噴き出す温泉や、黄色い硫黄の結晶がところどころにありダイナミックな光景を楽しめます。約30分の停車時間が、あっという間に過ぎてしまうこと間違いなし。

また2023年に誕生した観光拠点「硫黄山MOKMOKベース」では、カフェや地元食材を使用したスイーツ・お土産品を買うことができます。本物の源泉を使って蒸し上げられた温泉卵は延べ約20万人もの観光客が購入している大人気商品。ほんのり硫黄の香りが広がるほくほくとした味わいが魅力です。温泉蒸し卵を使用した「硫黄山温玉ソフト」も人気で、カップに入ったソフトクリームと温泉卵の上に、カラメルソースがかかっています。キャラメルプリンのような味わいは、ここでしか食べられない硫黄山限定メニューです。
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11:00 屈斜路湖・砂湯(停車時間:20分)
屈斜路湖
次に訪れる屈斜路湖は、日本最大のカルデラ湖として知られています。火山活動から生まれた湖で、湖畔には多くの温泉が湧き出しています。この日は風がほとんど吹いていない珍しい日で、湖面に山肌が合わせ鏡のように映り込む美しい光景を見ることができました。そんな屈斜路湖畔でも「砂湯」は人気の観光スポット。砂浜を少し掘るだけで、温かいお湯が湧き出してくるという珍しい場所です。自分だけの足湯や砂湯をつくれる体験は、忘れがたい思い出になること間違いなし。湖岸には散策路やベンチも整備されており、のんびりとした時間が過ごせます。冬には白鳥やオオハクチョウが飛来することもあり、間近で優雅な姿を観察できます。また、売店では軽食やご当地スイーツ、お土産品の販売も。休憩しながらちょっとしたグルメも楽しんだり、お土産探しの時間にあてるのもおすすめです。さらに、湖に浮かぶボートをレンタルして、水上から屈斜路湖の広さを実感することもできます。周囲を囲む山々の景色が湖面に映りこむ風景は壮観。自然とふれあいながらリフレッシュできる、癒しのスポットです。バスに戻る最中には野生のキタキツネにも出会えました。もふもふと愛くるしい姿でついつい餌をあげたくなるかもしれませんが、それは厳禁。自分で餌を探すことができなくなったり、生態系のバランスを崩すことにつながってしまいます。ひがし北海道で野生動物を見かけた際は、適切な距離感で観察することを大切に。
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13:00 阿寒湖温泉(停車時間:120分)
ツアーの最後を締めくくるのは、阿寒摩周国立公園の中心に位置する阿寒湖温泉です。ここではたっぷりと120分の自由時間が確保されており、各自のペースで観光を楽しめます。阿寒湖温泉街は、アイヌ文化と温泉、自然が共存するエリアであり、見どころが満載。中心に広がる阿寒湖は、約15万年前の火山活動によって形成されたカルデラ湖。 深い森に囲まれ、風のない日には湖面に木々が映し出されます。特別天然記念物「マリモ」が自生することで知られていて、世界でも珍しい球状なのが特徴。コロコロとかわいらしいマリモの群生地であるこの場所は、まさに自然の奇跡が生み出したものです。
阿寒湖遊覧船
阿寒湖温泉エリアで訪れたいのは、バス停から徒歩10分ほどの場所にある「阿寒湖アイヌコタン」。アイヌ語で「集落」という意味を持つこの場所では約120人のアイヌの人々が暮らしていて、独自に築きあげてきた様々なアイヌ文化に触れることができます。伝統的な木彫り細工や民芸品が並び、北海道らしいお土産を探している人には特におすすめ。国内初のアイヌ民族舞踊専用劇場「阿寒湖アイヌシアター イコロ」では、ユネスコ世界無形文化遺産に指定されたアイヌ古式舞踊の上演も行われます。
阿寒湖アイヌコタン
また温泉街には地元食材を使ったレストランや、アイヌ料理を味わうことができるお店も点在しています。ちょっと遅めの昼食に、自分のお気に入りのお店でランチを楽しんで。この日は、阿寒湖で飼育されている食用のザリガニ「レイクロブスター」のカルボナーラと鹿肉のミートソースを実食。どちらもここでしか食べることのできない貴重なグルメです。
阿寒湖で飼育されている食用のザリガニ「レイクロブスター」のカルボナーラ
もちろん温泉も堪能可能。日帰り入浴施設や手湯・足湯も複数あり、旅の疲れを癒やすのに最適です。また、大人気の観光アクティビティが「阿寒湖遊覧船」。船に乗って、湖の真ん中にあるチュウルイ島のマリモ展示観察センターに足を運ぶことができます。そのマリモをイメージした「まりも羊羹」はご当地名物のお菓子で、阿寒湖土産の定番です。ひとつ注意点があり、実はピリカ号のツアー中に阿寒湖遊覧船に乗ってしまうと発車時刻に間に合わないのですが、「どうしても遊覧船に乗りたい!」という人にとっておきの裏技が!阿寒湖温泉到着前にバスガイドさんからアナウンスがあるので、阿寒湖温泉で降車することを伝えましょう。ピリカ号の乗車券(釧路発-釧路 or 釧路空港着)を見せることで、16:15発釧路ゆきの路線バスを使って無料で釧路市内まで戻ることができます。
観光・体験・グルメと三拍子そろったエリアで、旅の最後を心ゆくまで満喫しましょう。
阿寒湖遊覧船
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16:00 釧路空港・釧路市内帰着
幣舞橋から見る夕日
阿寒湖温泉での自由時間を終えると、バスは再び釧路方面へ。帰路の車内では、ガイドによる振り返りや観光情報の紹介があり、最後まで旅の余韻に浸ることができます。1日を通して見てきた絶景の数々を思い出しながら、ゆったりとした気持ちで釧路へ戻ることができます。降車場所は行きと同様に3カ所あるほか、たんちょう釧路空港で下車することもできるため、そのまま空港へ向かいたい方も便利です。

① たんちょう釧路空港【16:10着】
② 釧路駅前バスターミナル【16:50着】
③ MOOバスターミナル【16:54着】
④ 釧路プリンスホテル【16:55着】

飛行機の時間に合わせて空港で下車すれば、観光後すぐに次の目的地へとスムーズに移動できます。市内で降車する方は、時間帯が合えば「世界三大夕日」とも称される釧路の夕日を観賞できるかも。なかでも幣舞橋(ぬさまいばし)からの景色はため息が漏れるほど美しく、多くの観光客が鑑賞に訪れるスポットです。また、降車場所でもある釧路駅やくしろフィッシャーマンズワーフMOOでお土産購入をするのもおすすめ。釧路市内に宿泊する方は、旅の締めくくりに釧路名物の炉端焼きや海鮮料理をご堪能あれ! お得に炉端焼きを楽しめる、おすすめ商品はこちら!
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事業者インタビュー
阿寒バスのバスガイド・小山さん
雄大で神秘的な風景が広がる、ひがし北海道の旅。今回はバスガイドとして同行してくださった阿寒バスのバスガイド・小山さんにお話をお伺いしました。なんと、バスガイド歴は約20年以上という大ベテラン。小山さんからみたピリカ号の魅力や、ひがし北海道のおすすめスポット・グルメとはどんなものなのでしょうか?

「ピリカ号は、約30年ほど前から続いている人気の観光バスツアーです。観光コースは何度か変更されていて、その時代に合わせた最適なポイントを回るように調整されています。どの停車スポットも見どころ満載なのですが、なかでもおすすめはやっぱり摩周湖ですね。霧に覆われていることがほとんどなのですが、だからこそ快晴の日に当たると『今日はラッキーだ!』と思えますね。お客様の反応も一番良くて、まるで入浴剤を入れたようなブルーの湖面に感動されている人が多いです。『これ、本当に自然が作った色なんだ』と私もいつも感動しています。他にも、阿寒湖温泉街もお客様から人気ですね。停車時間が120分あるので、みなさん思い思いに過ごせるのがいいみたいです。ランチやお買い物を楽しんだり、日帰り温泉でリラックスしたりとみなさん自由に過ごされています」

大自然が織りなす感動的な風景は、やはりひがし北海道でしか見られない特別なもの。また、景色の美しさはもちろん、様々なご当地グルメを楽しめるのも旅の醍醐味です。中でも小山さんおすすめのお店があるようで…

「ランチにおすすめなのが、阿寒湖温泉街にある『両国総本店』というお店です。ここで食べられる鹿丼は、地元民からしても衝撃のお味なんです。というのも、臭みが全くないんですよね。一度ぜひ味わってみてほしいです。ミシュランガイドのビブグルマンにも掲載されているんですよ」

ひがし北海道といえばジビエ料理が盛んで、数々のお店にて鹿肉を味わうことができます。ピリカ号に乗車するなかで、小山さんが大事にしていることも聞いてみました。

「バスガイドが乗車して案内する観光コースって、実は全国的にもかなり減っているんです。だからこそ、お客様とのコミュニケーションを大切にしたいと思っています。特にひがし北海道は交通手段が限られていて、観光客の方々がアクセス手段に悩まれることが多いんですよね。なのでツアーに関わる交通手段はもちろん、ツアー終了後の流れも様々なパターンを頭に入れるようにしています。バスガイドは相談先として頼っていただくことが多いので、快適な旅を過ごせるように可能な限りサポートしたいと思っています」
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予約方法
冬には期間限定のホワイトピリカ号が運行しているので、時期を変えて訪れてみても。また釧路から摩周湖・硫黄山・網走を抜けて、世界自然遺産・知床へと向かう観光バス「釧路知床号」もおすすめ。ピリカ号同様、人気の観光スポットを訪れるので移動しながら観光を楽しむことができます。それぞれ予約は下記公式WEBサイトから!発着場所によって料金が変動するので、予約時にチェックを忘れずに。前日まで予約可能です。
定期観光バスピリカ号
定期観光バス釧路知床号
定期観光バスホワイトピリカ号
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まとめ
ひがし北海道は広大なため、公共交通機関で観光地を巡るのは大変。個人旅行だと移動に時間がかかりがちですが、今回ご紹介した観光バス「ピリカ号」なら主要な絶景スポットを効率よく網羅することができます。移動時間はガイドさんの案内で、ひがし北海道の知識も深まります。地元グルメや文化体験も盛り込まれており、ひがし北海道の魅力を一日でギュッと体感できるのが魅力。「北海道は何度か行ったけどひがし北海道は初めて」という方にぴったりのツアーです。ぜひ、次の旅行の候補に加えてみては?
ライター情報
奥村 菜依加
奥村菜依加(なえか)
1994年生まれ、北海道北見市出身。道内金融機関に6年間勤務。その後北見市の映像プロダクション・株式会社北映Northern Filmsにチーフマネージャー・ライターとして在籍。2023年退職、コピーライター・取材ライターとして独立。屋号はProduce One。